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平四郎的日常 3/18
ゼットン人形に諭される。


* * *


 ある女の子がいます。いつだって彼女の心はたわんでいました。彼女の心を橋というふうに比喩すると、いつだって崖に掛けられた危うい橋を、重い馬車が通っていきました。ぎしぎし鳴るのも構わず沢山の人が通り過ぎて、その人たちには優しさがありませんでした。世界には悪意が満ちていて、そればかりではないけれど、でも悪意だらけでした。


 だから彼女は縫ぐるみをたくさん持っていました。彼らは彼女に何もしないかわりに、何もしませんでした。


 いつものように彼女が縫ぐるみで一人遊びをしていると、彼女のお気に入りのフランス人形が不意に口を開いて、


「あなた、私たちに全然愛を抱いていないのね。
 それって凄く屈辱的な事じゃなくて?」


 と呟くように云いました。彼女が、


「おっしゃるとおり私は私にしか興味がない。
 けど、そんな事を言われると辛いわ」


 と言ってみると、


「今の自分自身に向き合いなさい。
 あまりにも惨めだわ」


 などとフランス人形が言いました。


 彼女は、何か言い返してやろうかと思いましたが、いつも苛々したときに打つのはその人形だったので、成る程彼女だけにはそれを言う権利があるものだと思ったところ、


「私も少し惨めだわ」


 と言って、その人形はまた、いつもどおりのフランス人形に戻ってしまいました。


* * *


うーんとまあ長くなったけれど、そういうことだね、とゼットン人形が笑った。


僕は多分ゼットンの話の意味がなんとなくだけれど判る。何かを望んだり求めたりさえしなければ足りないものは何も無くなる、ということなのだろうな、などとぼんやり思った。
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【2006/03/18 13:43 】 | 平四郎的日常録 | コメント(1) | トラックバック(0) | page top↑
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コメント
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AV女優だった気がしますが。
by:檜山 | URL | #pKfLfqHU【2006/03/20 02:11】 [ 編集] | page top↑
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