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平四郎的日常 2/7
 起床。ふとんにはいったままだるだるする。だるだる。ゼットン人形がいつもうるさいと言って、目覚まし時計を止めてしまうので、いつだってわたしは遅起きなのだ。


16:00
 気が進まないけれど、勉強する。ゼットン人形は一人で何かを落書きしている。何を書いてるの、と聞いたら、ヘーゲルの絶対精神を視覚化しようと試みている、と言った。うそをつけ。


18:00
 図書館に本を借りに行く。院生用の図書館。学部生が利用するには一定の手続きが必要なので、はっきりいうと、そこまで嫌がるんならあたしゃ利用したげない、という気持ち。でもそこにしか所望の本はなし。ゼットン人形が、虎穴にいらずんば虎子を得ず、とわりとまともなことを言った。わたしはこんな性格なので、初めての場所に行くのがとても苦手。場所に限らず、初めての人、モノ、思想、とにかくハツモノが苦手。だからわたしは、こんな小学生のころから持っているゼットン人形を大切にするのだ。


20:00
 虎子を得て帰る、もとい、所望の本を無事借りてくる。しばらく夢中になってページをめくっていた。ゼットン人形がスパゲティーを茹でている。ちょっと火力が強すぎるのか、湯気が濛々と出ている。あったかいのでほっておいたら、ガス探知機が鳴った。「ぴーぴー、ガスが漏れています、ぴーぴー、ガスが漏れています」とものすごくうるさい。あわてて窓を開ける。上の部屋の人が、窓をがらりと開けた。悪いことをした。ゼットン人形は肩身が狭そうにしている。わたしにも非はあった気がしたので、なにも言わない。皿に山盛りにのったスパゲティーを前に、 母よ うどんそなえて わたくしもいただきます と山頭火の真似をした。ゼットン人形が肩をすくめた。ちょっとむかつく。


21:00
 いやな、いやな、いやなことがある。誰かを怒らせてしまったり、その末に呆れられる、見捨てられると推測して怖がったりするときなど。そういうときはお酒を飲む。もちろんお酒を飲んでも忘れられない。ただ、心が鈍くなるので、それがすごくありがたい。もっと、もっと飲みたくなる。こういう飲み方は良くないのだと、自分で知っているし、ゼットン人形も何度も言う。でも飲まずにはいられないので仕方ない。吐きそうになるまで飲んで、実際に吐いて、それでもまだ飲む。そういうとき、お酒はざらざらして吐瀉物の味がする。化学的な味がする。


 その味わいは、吐き気と同時に、便器の前で泣きたくなる気持ちを催すし、便器の奥に神様がいて、それに祈りたくなるようなばからしい気持ちを催す。そういうセンチメンタリズムが嫌いなゼットン人形は、そんなわたしの姿を見て、いつも怒る。素面で物事に立ち向うことをそろそろ覚えろ、と、そういうのだ。逃げたい、帰りたいのだけれど、そんな場所はどこにもないので、どうしようもないよ、とゼットン人形に言うと、彼はわたしをまた叱る。叱ってくれる。ゼットン人形の主張は前へ、前へと進めさせるし、お酒は、いつだってわたしを後ろへ、後ろへと後退させるので、わたしは自分の意思の弱いのに呆れる。


 でもわたしは、いつか本当に強くなりたいなあと思う。多分、その強さというのは、自分を好きでいられることなのだと思う。自分を好きでいられれば、きっと強さも弱さも関係のないところにあるのだと思う。そういうぽっかりあいた隙間に、はやく自分を埋めたい。
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【2006/02/07 21:37 】 | 平四郎的日常録 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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